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第106回薬剤師国家試験について

第106回薬剤師国家試験(以下、国試に省略)が2月20日(土)、21日(日)におこなわれます。

 

1年前にも国試の記事を掲載しましたが、1年経つのがあっという間ですね。

第105回国試のデータによると合格率が過去5年の中で最低となり、初めて7割を下回る結果となりました。

 

 

 受験者数  14,311名(昨年比 -65名)
 合格者数  9,958名(昨年比 -236名)
 合格率  69.58%(昨年 70.91%)

 

 

第106回国試は受験生にとって試験を突破するハードルが高く感じるかもしれません。受験生は不安とプレッシャーを抱えながらも試験当日に備えて最後に追い込みに入っていることでしょう。

 

では、第106回国試が例年の試験とは異なる点について取り上げてみたいと思います。

 

 

新しい出題基準が適用

 

第106回の国試は、文部科学省が掲げる薬学教育モデル「コア・カリキュラム」の改訂に伴い、新しい国家試験出題基準が適用される初めての試験になります。第106回の国試では「薬剤師として求められる基本的な資質(10の資質)があるかどうかを見極める試験」といえます。

 

参考:薬学教育モデル・コアカリキュラム-平成25年度改訂版(文部科学省

 

 

 

近年の国試でも応用力が問われる問題が増えていますが、第106回ではさらにこの傾向が強まるでしょう。知識を丸暗記するだけでは通用しなくなってきているということですね。ますます薬剤師としての思考力を求められているのでしょう。

 

 

コロナ渦での受験

 

世の中で新型コロナウイルスが拡大し、感染対策をすることが当たり前になっています。手指のアルコール消毒やマスク着用などの感染対策は大半の日本人が意識しているでしょう。

 

第106回国試の実施においても、新型コロナウイルス対策に則った受験ルールが定められています。特に受験生に影響のあるルールについて取り上げてみます。


○会場入口(原則施設外)にてサーモグラフィカメラによる検温を実施し、37.5度以上の者は再度接触型体温計により検温し、37.5度以上あった場合※3は、迅速抗原検査を実施。陽性反応が出た場合は、オンラインで医師が診察を行い、新型コロナウイルス感染症の診断がなされた場合は受験を認めない。それ以外の場合は、別室で受験させる。

※3 37.5度以上の発熱がない場合においても、咳等の症状を認めた受験者は同様の取扱とする。

 

○濃厚接触者※4であっても、試験当日に無症状である等※5の条件を満たせば、別室での受験を認める。

※4  保健所から濃厚接触者に該当するとされた者で、14日間の健康観察期間中に受験日が重なる受験者。なお、過去2週間以内に、政府から入国制限、入国後の観察期間を必要とされている国・地域等から日本に入国した者を含む。

※5 以下の条件を満たすこと。

ア  初期スクリーニング(自治体等によるPCR等検査)の結果、陰性であること

イ  受験当日も無症状であること

ウ  公共の交通機関を利用せず、かつ、人が密集する場所を避けて試験場に行くこと

エ  終日、別室での受験となること

 

○試験当日に体調不良等により受験出来なかった者については、これまでと同様に追加試験は行わない。

 

引用:令和2年度厚生労働省所管医療関係職種国家試験における新型コロナウイルス感染症対策について(厚労省)

 

 


 

要約すると新型コロナウイルスの陽性が判明した受験生は国試が受けられず、追加試験を受けられるなどの「特例措置」がないということです。

 

受験生はコロナに感染してしまったら次回の試験を受けるまで1年を棒に振ってしまうといっても過言ではありません。受験生自身が気を付けていても、同居家族で感染者が出てしまい家庭内感染してしまうことも十分に考えられます。

 

受験生はコロナに感染してしまうのではないかという不安とプレッシャーに耐えながら試験当日まで過ごさないといけません。この特例措置がないという話題はニュースでも報道され、賛否両論の声があがりました。私としても、何か特例措置を講じることはできなかったかと思います。しかし、今となってはルールとして決まってしまった以上、受験生にコロナ陽性者が出ないことを願うばかりです。

 

 

第106回国試の受験生は、「新しい出題基準」と「コロナ渦での受験」という二重のプレッシャーを受けながらも、逞しい精神力で試験に打ち克てるよう見守っています。