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薬局でのオンライン資格確認について
2021年3月よりオンライン資格確認がスタート
病院やクリニックなどの医療機関や薬局では、患者が確認している医療保険を確認する必要があります。この作業を「資格確認」といいます。
従来の資格確認の方法は、患者から健康保険証を受け取り、【記号・番号・氏名・⽣年⽉⽇・住所】などの情報を医療機関システムに入力するというものでした。しかし、この方法では入力の手間がかかったり、患者を待たせてしまったりと難点がありました。
このような背景を踏まえ、2021年3月より「オンライン資格確認」がスタートします。オンライン資格確認では全国民の資格履歴を一元的に管理し、患者のマイナンバーカードや保険証をもとに加入している医療保険などをすぐに確認できる仕組みをつくります。
オンライン資格確認を導入するとマイナンバーカードのICチップ、もしくは健康保険証の記号番号などによりオンライン上で医療保険の資格情報の確認ができるようになります。
出典:オンライン資格確認導入の手引き(薬局の方々へ)┃ 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/000663428.pdf
オンライン資格確認導入のメリット
オンライン資格確認を導入することにより、医療機関や薬局ではリアルタイムに患者の保険資格の確認が可能となったり、保険証の入力の手間が削減できるようになったりと「医療機関や薬局の負担を減らす」というメリットがあります。
また、薬局においては「患者の薬剤情報が確認できる」といったメリットがあります。患者の同意の意思をマイナンバーカードで確認した上で、薬剤師が薬剤情報(過去の3年分まで)を閲覧できます。これにより、患者の服薬中の薬剤を一元的に把握し、重複投薬や相互作用を発見することができ、また検査値を見ながら適切な服薬指導が出来るようになります。
オンライン資格確認導入のデメリット
一方、このようなデメリットも考えられます。
まず1つ目は「システムの維持費用」についてです。厚生労働省は、「2021年(令和3年)3月までに顔認証付きカードリーダーの申し込みを行った医療機関・薬局に限定して一定の補助上限まで定額補助を行う」としています。イニシャルコストの負担は大きくならないとしても、システムの維持費用(故障対応やメンテナンス)は医療機関の負担となるため、不安視する薬局あるでしょう。
2つ目は「導入の手間」です。導入のための申請の手間やシステム改修に伴う業務の停止、また機器の操作をスタッフが覚える必要があるなど、薬局側の負担は小さくありません。特にコロナ禍で他に対応しなければいけないことも多く、導入に踏み切れない薬局もあるでしょう。
3つ目に「問い合わせやトラブル対応」についてです。電話で「これはどうすればいいのか」「これは使えるのか」といった問い合わせや、来院した患者さんからも機器の操作についての質問が増えると予想されます。また、オンライン資格確認はマイナンバーカードを保険証として使えるよう登録する必要があるため、登録していないマイナンバーカードや番号通知カードを持参しても「使えない」というケースも考えられます。システムを導入することが逆に負担を増幅させる可能性が考えられます。
オンライン資格確認の普及には多くの時間が必要
そもそもマイナンバーカードの人口に対する交付枚数率は、2020年12月1日時点で、23.1%となっています。つまり5人に1人しか持っていないということになります。普及するにはまだまだ多くの時間がかかるでしょう。
とはいえ、時代の変化に対応した薬局をめざすために、薬剤師個人にも会社組織にも導入のハードルを乗り越える気概が求められるのではないでしょうか。