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薬剤師の供給過剰について
これまで過剰に増え続けてきた薬局。厚労省の集計データによると2019年度末時点での薬局数が”60,171軒”と初めて6万件を突破したようです。コンビニよりも多いといわれる薬局ですが、6万件を突破したのはあくまで2019年度末時点の集計データであり、コロナ渦の薬局経営難を考慮するとこのまま増え続けないことが予想されます。かつてから、6万軒ある薬局が半分の3万軒になるとも言われ薬局淘汰の時代が訪れると言われていましたが、コロナがきっかけでこの時代の始まりを強く感じるようになりました。
薬局が淘汰されるということは、薬剤師が淘汰されると言っても過言ではありません。知人の薬剤師を専門に扱う人材紹介会社によると、薬剤師業界は「売り手市場」から完全に「買い手市場」に変わり、特に都市部では顕著にその傾向が顕れているとのことでした。コロナ渦で経営状況が悪化し、コストの見直しの面からコストのかかる派遣薬剤師が切られてしまっているのが現状です。切られてしまった派遣薬剤師は雇用の安定を求め、正社員として転職するというケースが増え、これまで薬剤師採用に苦戦していた中小の薬局にも人材が行きわたるようになりました。薬局では薬剤師が不足している状況が解消され、中途薬剤師採用においては年齢制限を設けたり、これまでの転職歴でふるいにかけたりと薬剤師の転職が非常にシビアになっているのが現状です。地域差はありますが、薬剤師の供給過剰の傾向があるといえますね。
2045年には12万人が薬剤師過剰?!
厚生労働省は4月26日、「第8回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」を開催し、薬剤師の需給調査の推計を公表しました。それによると2045年に最大で12万6000人の供給過剰になる可能性が示されたようです。現在の薬剤師は31万1000人であり、極めて大きな供給過剰になる可能性から、今後、薬学部にも入学定員などに規制ができる仕組みが必要だとも声が上がっているそうです。
厚労省が公表した薬剤師の需給調査の推計では、2045年の供給数は最大で45万8000人、最小で43万2000人。需要数は最大で40万8000人、最小で33万2000人。最大の供給数と最小の需要数を考慮すると12万6000人が2045年に供給過剰になる可能性が示されています。
推計では需要において振れ幅が大きいが、これは薬剤師業務に変動要因が大きいことが理由です。対人業務や在宅医療など現状よりも業務が拡大した場合はその分、需要も拡大することが考えられます。
つまり、薬剤師の需要は薬剤師業務が今後どのように変わるのかがポイントとなってきます。在宅業務やOTC医薬品販売、健康相談業務など薬剤師の業務の拡大が「薬剤師の需要と供給」に大きく関わります。薬局の経営者だけでなく、薬剤師自身も生き残っていくことを本気で考えていく必要があると思います。この先、薬剤師免許を持っているだけでは仕事を失うかもしれないという危機感を持って今後のキャリアを考えてほしいものです。