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HPVワクチンの無料接種
2021年も残すところわずかになりましたが、みなさんにとってはどんな1年でしたでしょうか?やはり新型コロナの影響で仕事やライフスタイルの変化を感じる1年だったという方も多いかと思います。2022年も新型コロナの影響を受ける1年になることが予想されますが、みなさんが明るく前向きな気持ちで過ごせる良い年になることを願っています。
今回の記事のテーマですが、「HPVワクチンの無料接種」について取り上げていきます。
厚生労働省は23日、子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンについて、従来の対象者とは別に1997~2005年度生まれの女性が無料で接種を受けられるようにすることを決めました。
HPVワクチンの接種は現在、小学校6年~高校1年相当の女子が無料で受けられます。厚労省はこれまでワクチン接種後の痛みや運動障害などの報告を受けて予診票の送付など積極的な勧奨を中止していましたが、2013年6月から中止していた積極的な勧奨の再開を2021年11月に決めました。これを受け、自治体が22年4月をめどに順次再開します。
日本のHPVワクチン接種は世界と比べると大幅な遅れをとっています。
※引用
Garland SM et al. Clin Infect Dis. 2016; 63: 519-527.
厚生労働省 定期の予防接種実施者数
日本でのワクチン接種率はわずか0.8%となっており、80%以上の接種率の高い各国と比べるとワクチン接種がほとんど定着していないといえます。その原因として一般市民に対しての子宮頸がんに関する意識や知識が不足してしまっていたり、ワクチンの安全性に対する不安によるものだったりと様々な要因が挙げられますが、今回のワクチン接種の積極的な勧奨や無料接種が接種率を引き上げるきっかけとなることを期待しています。
一方、ワクチン接種と並行して子宮頸がんの検査も定着していく必要があります。
世界各国においての子宮頸がんの検診受診割合を比較すると、日本はワクチン接種率と同様に低いといえます。
日本での検診受診割合が低い理由として
・時間がない
・費用がかかる
・どうしたら受けられるのか、手続きの仕方が分からない
・検診の方法が分からない
・症状がないので定期的に検診を受ける必要がない
・検診の通知がない、検診があることを知らない
・子宮頸がんの疾患について具体的に知らない
ことが挙げられるようですが、検診に対してのハードルを下げていく必要があります。
子宮頸がんの検査は主に各区市町村が指定する検診機関や医療機関等で受診することができますが、薬局でも子宮頸がんの検査を受けられるサービスを提供しています。
例えば、生活者の健康づくりへの意識を変える活動を支援しているスマートヘルスケア協会は、子宮頸癌検診の未受検者向けに薬局を活用したHPV(ヒトパピローマウイルス)の自己チェックサービスを始動させています。薬局やドラッグストアが地域住民にHPV検査キットを販売し、子宮頸癌検診の重要性を啓発することで、適切な受診勧奨を通じた検診受診率の向上させる取り組みをおこなっています。
子宮頸がんは、ワクチンの接種で予防することができるがんです。ワクチンを接種することで子宮頸がんの予防をするとともに、定期的な検診を受けハードルを下げていくことが課題です。自治体だけなく、薬局などの医療機関がハブとなって検診を勧奨していくモデルが実現できれば子宮頸がんの早期発見に繋がります。早急な仕組み作りが必要でしょう。
今回の記事が2021年の最後の投稿となります。これまで記事をご覧いただきありがとうございました。2022年も記事を投稿していきますので、よろしければご覧ください。